なぜ統一教会は分裂してしまうのか?

「第三イスラエルの終焉と新しい時代の始まり」

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はじめに

御言に秘められた壮大な思想体系

かつて文鮮明先生は、「先生に歩んだ人生は紙と先生しかわからない永遠の秘密があるんだよ」と、語られたことがあります。したがって、再臨主の生涯路程に関してどれほど深い研究を重ねても、人間的観点からでは完全に理解できないことも多々あるでしょう。

それでも長年にわたって膨大な御言を研究してきた結果、その一端が徐々に解明されてきたと自負しております。もともと文先生を再臨メシアとして信じてはいましたが、その御言の根底に流れる思想体系が見えてきたとき、それが明らかに神様から来たものであるという確信がより一層深まりました。

そこには、今まで私たちが原理講論や統一思想、あるいはセミナー等で学んできたものとは比較にならないぐらい壮大な広がりがあったということが分かっています。いうまでもなくそれは、単に一教団の宗教教義に留まるものではありません。一神教多神教無神論と有神論の対立を解消し、また哲学や心理学、科学などの諸分野までをも包摂し得る、文字通り「神の思想」に他なりません。

また、それこそが、文先生が常々言っておられた「原理本体論」ではないかと考えております。(かつて統一教会から発表された「原理本体論」とは違います。)

御言は、暗示や比喩、表示や合図が多用され、 (祝福 66号 P172)、まるで暗号のように語られているところが多く、とても難解であり、また一見、明らかに事実と違っていたり、矛盾しているように感じられるところも無きにしも非ずです。

しかし、ある一定の法則性に則った読み方をすれば、その御言の背後に秘められた壮大な思想体系が浮かび上がってきます。今回は、御言を根拠としつつ、主に次のような疑問に答えようとするものです。

・再臨主が直接導き、真理の御言があるのに、なぜ統一教会(家庭連合)は腐敗してしまったのか。

・特に文先生ご聖和後、なぜ真の御家庭までが分裂・闘争状態にあり、崩壊に向かっているのか。

・祝福家庭や祝福二世は、なぜ誰一人として理想家庭を築けていないのか。

・お母様、顕進様、亨進様のうち誰が文先生の後継者なのか。

・これから私たちが中心とすべきリーダーは誰なのか。

先生が教えた御言と、先生の原理以外には、どんな話にも従ってはならないのです。(中略) お父様の今まで立てた御言と説教集を中心として、行かなければならないのです。他の言葉を述べるのを許しません。

(「祝福85号」P68 祝福二世の行くべき道)

第一章

再臨主の本来の摂理とキリスト教の基盤

統一教会が分裂してしまう摂理的背景

92歳とは何かというと、80歳から12年です。2012年までです。その時は、先生が生きているか、霊界に行っているか分かりませんが、希望をもっているのです。(「ファミリー2001/6  P21 「米国50州巡回講演」祝賀会)

この御言は文先生が80歳を超えられた2001年に語られたものです。今思えばこの時すでに2012年に霊界に行かれる可能性があることを示唆しておられたのかもしれません。

神と一心一体となられた再臨主は、神が宇宙を創造された「原理」のみならず、堕落した人類救済のための「復帰原理」を全て悟っておられたわけですから、当然、神が成そうとされる「復帰摂理歴史の法則」も全てわかっておられたと考えられます。

もちろん人間の責任分担があるため予定通りに進まないことも多いのですが、摂理的に見てご自分の聖和がいつ頃になるか、ある程度は想定しておられたのではないでしょうか。そしてそれまでに何を成しておくべきか、その後の神の摂理がどのように展開していくかということを視野に入れて、人類救済の準備を計画され使命を遂行されたはずです。

しかし今、祝福家庭はもちろん真の御家庭の中にさえ、分裂や闘争があると言うのが悲しい現実です。国家レベルにおいても、東西の冷戦がとうに集結したはずなのに「主の国」といわれた韓国をはじめ、摂理国家である日本やアメリカなど、世界中どこを見渡しても未だ地上天国の兆しは見当たりません。天国どころか逆に地球上のあちこちでテロや紛争が激化し、憎悪や怒り、悲しみが蔓延しています。人類は再び恐ろしい大戦争に向かっているような危険な匂いさえ感じられます。

再臨主が実体の真の父母として立たれ、地上に神が顕現し、愛と真理がもたらされる希望の時代であったはずなのに、何故このようになってしまったのでしょう。文先生はメシアではなかったのではないか ー そう不信してしまうのも、今の現実を見れば無理からぬことなのかもしれません。

あるいは私たちの力や信仰が足らなかったからだと考える人もいるでしょう。確かに統一教会では様々な失敗や、真の御家庭に起きるスキャンダルの原因を、単純に教会員(あるいは特定の国)の不信仰のせいにして片付けてしまう傾向がありました。そうしたことは全く無関係だとは思いませんが、御子女様にしても、お母様にしても、やはりご本人の5%の責任分担こそが重要であり、その蕩減的な責任の全てが他者によってもたらされるというものではありません。

ただ、摂理的に立てられた人物や組織、国家等には、そうした個人の力ではどうにもならないような摂理的圧力がかかるのも事実です。例えば、イエス様がどれほど完璧に歩まれたとしても、十字架への道は、その出生前の時点で既にほぼ避けがたいものになっていたということがいえます。

仮に洗礼ヨハネが使命を全うしていたとしても、それ以降の摂理的展開は、決して楽観視できないものだったでしょう。当時、洗礼ヨハネは、今でいう「分派」あるいは「霊的集団」のような位置にいました。必ずしもユダヤ教代表するような主流的立場の人ではありませんでした。詳しくは後述しますが、なぜそのような状況にあったかということを簡単に述べると、ユダヤ教においてメシアを迎えるための基台が十分に築けていなかったということが挙げられます。実はそこには、洗礼ヨハネの失敗の前に、その親であるザカリア・エリサベツの失敗があり、さらにそこには、ずっと昔のソロモンの失敗が重く影を落としているのです。

文先生の路程においても、また統一教会の歴史においても、それぞれがどれほど命がけで歩んだとしても、どうしても思うようにいかない原理的理由があったということが、御言を元に摂理歴史を分析するなかで分かってきました。一言で言うとそれは、第二イスラエルキリスト教の歴史的な失敗が既にあったということです。私たちは、最大の問題点が金百文の不信ゆえであると原理講義で学んできたのですが、そうなってしまった遠因は、イエス様の時と同じく、約1000年もの前のキリスト教歴史の中にあったのです。

統一教会の分裂とフランク王国の分裂

原理講論に書かれてある通り、本来、再臨主を迎えるために準備された選民圏はキリスト教徒でした。摂理的に見れば、AD 800年のクリスマスにチャールズ(カール)大帝がローマ教皇レオ3世より西ローマ帝国皇帝として、 戴冠され、キリスト教統一を統一国家基盤が確立されていたことになっています。

この国家基盤をもとにキリスト教が世界的に拡大された後に、文先生を再臨主として迎え入れるというのが神の計画でした。もしこのキリスト教における摂理が成功していたならば、再臨主歩むべき本来の復帰路程において、韓国に新たな新興宗教としての統一教会を設立する必要はなかったはずです、しかし AD 843年、フランク王国は東・中・西の三国に分裂。わずか43年でキリスト教統一国家は崩壊してしまいます。その後、キリスト教は神の名のもとに侵略や虐殺の歴史を展開するなど、堕落の一途を辿ることになります。神の摂理を担っていたはずのヨーロッパは、中世の暗黒時代に突入。夜明けは、宗教改革ルネッサンスによる改革の時まで待たなければならなくなります。(詳しくは後述)

このように神が理想とする復帰摂理の計画は、約1000年も前に大きな痛手を負っていたのでした。その結果、再臨主は34歳(1954年)の時にキリスト教の失敗を蕩減するための統一教会という新しい宗教組織を創設せざるを得なかったのでした。この、メシアを迎えるべきキリスト教の国家基準の失敗は、神にとっても再臨主にとっても、あまりにも悲しい出来事だったでしょう。

仮に、キリスト教が失敗せず国家的なキリスト教基盤の上に再臨主が降り立ち、本来の中心人物たちに受け入れられていたならば、20代の若き青年メシアが全世界のキリスト教の優秀な指導者や修道者たちを教育し、その力を思う存分発揮していたことでしょう。そして本来的なキリスト教を国教とする国々の国家元首を結集させ、神を中心としたアベル的国家連合を編成していたはずです。人類救済の道は一気に切り開かれたに相違ありません。

再臨主40歳までの本然の路程

次に示した図は、御言に基づいて、仮にキリスト教の基盤が崩れていなかった場合の復帰摂理を示したものです。

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外的には1938年、再臨主18歳の時に個人完成基準を立ててすぐ、準備されていた相対(新婦)と御聖婚されたでしょう。そして家庭編成から氏族編成を成しながら、第二イスラエル選民としてのキリスト教基盤に連結されることにより、1945年までの7年間で再臨主の新しい思想を中心とした国家が立てられるのが原理的計画だったと考えられます。これが実現していれば、その時に基元節が宣言されていたに違いありません。

その当時のキリスト教文化圏の人口は約 8億でしたが、その8億という人口が皆、祝福を受けて、その当時、旧教と新教が一つになれば、その当時、7年以内にこの世界は今日私たちが望んでいた、長子権世界化、父母権世界化、王圏世界化が成された家庭と共に一体理想を成していたことでしょう。そのように一時に全てのことを引っ繰り返して、地上天上天国を成そうとしていた。

(ファミリー1999/2   P14   真の祝福天宙化とサタンの血統根絶)

内的には、準備された心霊基準を持つクリスチャンたちが連結されていれば、図にあるように再臨主ご夫妻が40歳になられる1960年には、本然の真の父母の基準が完成完結されていたはずです。また信徒たちも真の父母と共に長成期完成級を越え、実体復帰された神の子としての第一祝福の完成基準に至ると共に、本来の原理的な基準に立った小羊の婚宴(本然の祝福式)が執り行われる予定でした。(詳細は後述)

文先生は18歳で結婚し40歳で真の父母を完成するはずだった

息子・娘を早く結婚させるのが良いですか、遅く結婚させるのが良いですか?(早くです)いくつの時ですか?(18歳です)。なぜ18歳ですか?6数の3倍が18です。

18歳を越えなければなりません。それを越えて、19歳、20歳、21歳まで、その三年間で赤ん坊を産まなければ難しくなるのです。その時が血気が最も旺盛な時です。女性は24歳になると下がっていくのです。統一教会では、18歳から20歳までに結婚させるのが理想的です。(「祝福家庭19  P89 入籍のための祝福家庭婦人特別修練会 2000年9月22日)

文先生の御言を研究していくと、アダムとエバは、本来18歳の時には第一祝福の完成と共に、本然の結婚式が成されるはずだったことが分かります、神の天地創造が6日間で行われ、人間が創造されたのが6日目だったことから、人間が第二の神として立つためにも、人間自身の責任分担で6数を完成するために3段階の6数期間を通過し、18年間で個人完成を実現するようになっていたのです。

復帰されたアダムとして来られる再臨主も18歳で第一祝福を完成し、完全に神と一体とならなければなりません。そして1938年、 18歳になった青年メシアは、同じ選民圏に誕生し復帰されたエバとしての基準を整えた女性を新婦に迎え、真の御聖婚式が挙行されるようになっていたのです。

そのようにして完成基準に立った真の御家庭において、上記の御言にあるように、19・20・21歳の頃には御子女様たちをお生みになり、真の家庭編成が成されるようになっていたのです。

御言に示されている原理的観点から言えば家庭完成のための路程は、1938年から蘇生・長成・完成と三次に渡る七年路程を通過しながら越えていく為に、1959年までの21年間を要するようになります。したがって1960年の40歳になられた時には、再臨主夫妻は真の父母が完成完結された創造本然の家庭完成基準に達するようになり、またその真の父母から誕生された真の御子女様もそれぞれ18歳で第一祝福を完成した人格者となっておられたはずです。

そうであれば1960年までには、真の御父母様と共に複数の人格完成された真の御子女様が成人し結婚され、二代目の真の父母となっていました。そこに文先生のお孫様が誕生することで三代圏の理想的なモデル家庭として人類の前に顕現し、世界を指導される立っておられたことでしょう。さらに三代目の孫が完成・結婚して真の父母となることで三(大)代王権が確立、その真の御家庭を中心として堕落世界のあらゆる問題が解決され、神の願う理想社会に向けた再創造摂理が展開して行くのが、キリスト教を基盤の上に立った〝本来の成約時代〝であったのです。当然、神の国・地上天国は文先生のご存命中に建設されていたことでしょう。これが、再臨主を中心とした神の本来の摂理計画であり、神が準備されたメシアのための栄光の道でした。

「御言と原理から読み解く摂理観」より